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2015年2月10日火曜日

2014年デイリー・ジャーナル株主総会(4)バカなことに手を出す理由

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バリュー・ファンドFPAのマネージャーであるスティーブン・ローミックは、わたしが常々参考にしている人です。彼の第4四半期コメントが公開されたのでかるく目を通したところ、チャーリー・マンガーの発言が引用されていました。このシリーズで取りあげてきた、デイリー・ジャーナル社の2014年株式総会で発言されたものです。そのくだりは個人的にも気に入っていた箇所なので、もたもたしているうちに先を越されてしまいました。今回ご紹介するのは、ローミック氏の引用箇所(赤字で強調)も含んだ質疑応答です。印象箇所以外の文章も勉強になります。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

なお原文のトランスクリプトは、以前と同じようにForbesのWebサイトに掲載されているものです。リンク先は以下のとおりです。

Charlie Munger And The 2014 Daily Journal Annual Meeting - Part Three (Forbes)

<質問> ウォール・ストリート・ジャーナルのジェイソン・ツヴァイクです。[当社を]無料で宣伝してくださり、ありがとうございます[前の質疑応答でWSJ紙の話題あり]。もしお望みでしたら、[社主の]ルパート・マードックにも、デイリー・ジャーナル紙へ返礼をする気はないか訊ねたいと思います。さて本題です。ベン・グレアムが晩年に言った言葉で、「個人的な見解として、適切な思考のできる個人投資家が機関投資家をしのげないと考えるに足る理由はない」とありました。相対的な活動領域が遷移したと思われますか。今日の個人投資家は当時よりも有利なのですか、それとも不利なのでしょうか。

<マンガー> このように広大な市場ですから、自分にとって本当に有利な場所を勇んで探す抜け目ない人であれば、結局はうまい結果を出しますよ。常ならぬ割合で金もうけできる場所、頭のいい人がその場所を見つける方法は、大きな市場には常にいくつかあるものです。彼らは他人よりも賢明かつ熱心に取り組むからです。そういうのは、なくなりませんね。

しかし、だれでもそうできる簡単な方法があるとは思えません。代表的な銘柄を大量に買う場合、現在のこの国の市場で他人を凌駕するのは大変です。この国の市場はかなり効率的だと思いますよ。できないとは言いませんが、相当難しいと思います。そうしようとする人がごまんといるのに、概して成功できない結果に終わっているのですから、証拠は圧倒的です。

個人的に嫌だと思うのは、たとえばこの国の株式の200銘柄に10億ドルずつ投資してそれで平均を上回ろうとする仕事です。ぞっとしますね。[友人の]ピーター・カウフマンが、いつだったかおもしろい話をしてくれました。彼が経営している会社(グレンエアー社)は資産利益率が高く、かなりもうかっています。彼はこう言いました。「私の会社を買いたいという人が、売上高の3倍の値段を出すというなら、会社の経営はやめます。今後わたしがやる一切のことに見合う金額ですよ。それだけ大変な目に遭うでしょうから」。彼はすでに金持ちです。ならば、あえて難しいことに取り組む必要があるでしょうか。いや、その必要はないですよ。

それと同じことが、この国で起こっていると思います。自分の商売はダメだけれど、他の商売はずっといいと考えているわけですね。しかし純利益の30倍も払う必要があるならば、それはまずい考えです。難しい事態をむかえ、うまくいかないと思います。ところがコンサルタントや投資銀行家ときたらこうです。「お手持ちのビジネスに頼るのではなく、ほしいとお考えになっているようなビジネスを買うのです、純利益の30倍の値段で。そうすれば身を救うことができますよ」。そんな同じまやかしを売り続けているのですから。

バークシャーはとびぬけた例外です。ウォーレンは今年度の年次報告書で、なぜバークシャーがそうなったのか、これからも続くのか、そのことについて徹底して取り組むつもりでいます。我々は巨大になりました。非常に重要な疑問を提起させるほどに興味深い記録です。もし世界が私の考えるほどに賢明であれば、今度の報告書を並々ならぬ興味をもって読むことでしょう。

我々がなしとげたことの一部は他の人がやるべきでしたが、そうはなりませんでした。他のやり方をするようにと、体制上の強烈な圧力がかかるからですね。それでは、その流れは今後も続くでしょうか。大方の人が考える以上にバークシャーはずっとうまくやっていく、と私は考えています。ずっとうまく、ですよ。しかし強力な力はすでにバークシャーの中にあります。容易なものごとを選んできた、これも我々がそれなりの成績をあげてきた理由のひとつです。他の人は「自分は頭がいい」と考えて、実に難解なものを選ぶことがあります。あとになって、それが危険なものだったとわかるわけですね。

容易なものが自分の買値に来るまで待たねばならない。じっと辛抱しなければいけないわけです。しかし、ひねもす座して何もせずにじっと待つということは、人間の本性に反する行為です。我々には他にやることがいろいろありますから、どうってことありません。しかし普通の人にとって、じっと座ったまま何もしないで5年間も待つなど、想像できますか。自分は何かをしているのだ、役に立っているのだ、とは感じられないわけです。だからバカなことに手を出してしまうのです。

今年のバークシャーの年次報告書はすこぶる興味深い内容ですよ。落ち目の企業3社が合わさってできたのがバークシャー・ハサウェイですから。今も当時と同じ発行株式数です[分割は考慮せず]。この大きさでバークシャーに匹敵するようなところは考えられません。もっと注目すべきだと思うでしょうが、風変わりにみえるので、きっとうまく扱えないのだと思います。

ある著名な人物の文章を読んで、いたく感心したことがあります(25年前のことです)。そこで、贈与税のかからない範囲でできる限りのお礼を贈りました。その2万ドルに添えて、こう書き記しました。「貴殿の文章にはすこぶる感心しました。敬意のしるしとして、こちらを同封した次第です」。ところが彼はお金をそのまま返送してきました。そこで彼に電話をしてこう伝えました。「どうしてお返しになったのですか。掃除のおばさんやあなたのもとで働いている院生に渡しても、いっこうにかまわないですから。どうぞお受け取りください」。結局彼は受け取ってくれ、院生のだれかにあげました。そのとき彼の心の底にあったのは「かんたんすぎることだから、なにかまちがっているに違いない」という姿勢でした。

そのことが、バークシャー・ハサウェイに関して問題になっているひとつだと思います。「あまりにかんたんなので、どこかまちがっているはず」と考えるわけです。バークシャーの人は懸命に働いておらず、他のことばかり興味を示している。ウォーレンは週に12時間ブリッジをやっている、と(笑)。ルーレットを回せば、いつでも勝利。それは楽勝すぎる。そう思い悩んで、なにかがおかしいと考えるわけですね(笑)。

Q: I'm Jason Zweig from The Wall Street Journal. Thanks for the free ad. If you want I can ask Rupert [Murdoch] if he'd like to reciprocate for the Daily Journal. Late in his life, Ben Graham said that in his opinion there was no reason to imagine that an individual investor who thought appropriately couldn't outperform institutions. Do you think the relative playing field has shifted? Do individuals have a greater or a lesser advantage today?

Munger: In markets as big as this, some shrewd guy who's willing to search out a few places where he has a real advantage will always do well. There are always going to be ways in markets this big for some smart people to figure out something where they'll make money at an unusual rate, just because they're smarter and more diligent. That will never go away.

I don't think there will ever be a universal easy solution where people can do that. The American market is tough now to outperform if you're buying big stocks in big quantities. I think it's a pretty damned efficient market, and I don't say it can't be done, but I just think it's plenty difficult. The evidence is overwhelming that even though there are zillions of people who have tried, the ordinary result is that they don't succeed.

I would hate the job, personally, of investing, say, in positions of a billion dollars each in 200 different stocks in America and outperforming the averages. I would shrink from that with horror. Peter Kaufman said something interesting to me the other day. He runs a very profitable company [Glenair, Inc.] that has very good returns on capital. He said, "You know, if somebody bought my company for three times sales, I wouldn't run it anymore, because I'd have a hard time justifying that price with anything I could do." He's already rich, why should he do something that difficult? He doesn't have to.

I think that's what happened in America. People know their own business is lousy. They know another business that is way better. But it's not better if you have to pay thirty times earnings for it. It gets so difficult that it doesn't work. I figured this out, but the consultants and investment bankers keep selling the same nostrum that you can save yourself by paying thirty times earnings for the kind of business you wish you had, instead of the one you've got.

Berkshire has been a huge exception. In this year's annual report Warren intends to deal extensively with: Why did it happen at Berkshire? Will it continue? We've reached a size and the record is interesting enough that those are very important questions. If the rest of the world is as smart as I think it is, it will look at this report with great interest.

Part of what we did should be done by others, but it isn't. There are vast institutional pressures on people to do it differently. Will it continue? I think Berkshire's going to continue way better than most people think. Way better. But there's so much power in what we already have. Part of the reason we have a decent record is that we pick things that are easy. Other people think they're so smart, they can take on things that are really difficult, and that proves to be dangerous.

You have to be very patient, you have to wait until something comes along, which, at the price you're paying, is easy. That's contrary to human nature, just to sit there all day long doing nothing, waiting. It's easy for us, we have a lot of other things to do. But for an ordinary person, can you imagine just sitting for five years doing nothing? You don't feel active, you don't feel useful, so you do something stupid.

You'll find this year's Berkshire annual report very, very interesting. Three failing businesses together created Berkshire Hathaway. There are about the same number of shares outstanding now as they were then. I can't think of anything like it at this scale. You'd think people would be paying more attention to it than they do. I think it looks so peculiar that they can't handle it.

I read an article once by a famous man. I liked it so well (this was twenty-five years ago) that I sent him whatever I could send him without paying gift tax. I sent him $20,000 dollars and said, "I really liked your article, here's a token of my respect." He sent the money back. So, I called him and said, "Why are you sending it back to me. I don't care if you give it to your charwoman or the graduate student who works under you. For God sake's, keep the damn money." Whereby, he took my money and gave it to some graduate student. His basic attitude was, if it was that easy, there must be something wrong with it.

I think that's part of the trouble with Berkshire Hathaway. It looks so damned easy, they think there must be something wrong with it. The people there don't work that hard. They have all these outside interests - Warren's playing bridge twelve hours a week (laughter). They just keep spinning and winning and it just looks too easy. So it's confusing. There must be something wrong with it. (laughter)

2015年2月8日日曜日

ウォーレン・バフェットから学んだこと(セス・クラーマン)

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ヘッジファンドのマネージャーであるセス・クラーマンの記事が英経済紙Financial TimesのWebサイトに掲載されていたので、ご紹介します。題名に示したとおり、クラーマン氏がウォーレンから学んだ教えを12項目あげています。特に新しいものはありませんが、二重のフィルターを通過したという点が重要だと思います。(日本語は拙訳)

なお同じ記事がCNBCにも転載されていたので、そちらのリンクを挙げておきます。(こちらは随時無料ですが、FTのサイトは制限付きです)

Seth Klarman: What I've learned from Warren Buffett (CNBC)

1. バリュー投資のやりかたが通用すること。割安なものを買えばよい。

2. 事業や人の資質にこだわること。すぐれた資質の事業であれば、成長して累積的にキャッシュフローをうみだす可能性が高い。質の低い事業は浸食されがちなので、すぐれた経営者、つまり特定したり呼び寄せたり残留させるのが難しい人物がいても、会社を救うには至らないかもしれない。パートナーとしてみつけるべき経営者は有能であることが欠かせず、また彼らの狙いが自分のものと連携できる人物であること。

3. 手広く分散させる必要はないこと。「生涯で使えるパンチカードは1枚かぎり。1件投資すれば穴を1つ開け、その回数は20回まで」のように投資すること。ひろく機会を求めること。それは世界のどこかでみつかるかもしれない。予想外の産業や構成の中にあるかもしれない。

4. 一貫して振る舞うこと、そして辛抱できること。これらは決定的な要素である。ほとんどの投資家にとっての最悪の敵とは、自分自身である。辛抱しつづければ、累積的な効果が得られる。

5. リスクとは、価格変動(ボラティリティー)と同じことではない。リスクとは、払い過ぎたり、企業の将来性を過大評価した時に生じるものである。価格は価値よりも大きく変動するため、価格が変動することで機会が生じ得る。価格下落から身を守るためには、ある程度の価格上昇は犠牲にすること。

6. かつてない出来事は周期的に起こるものだから、それに備えておくこと。

7. 投資で失敗しても、それを糧にできる。

8. 機会がないときに現金のままでいるのは、理にかなっている。

9. 形式ではなく中身を重視すること。投資対象が公開企業か非公開企業かは問題ではない。同じように、保有するのが一部なのか全部なのかは問題ではない。債券、優先株、あるいは普通株、投資先がどれでもかまわない。

10. すなおに振舞えること。あやまちをみとめて、きっぱりと行動に移すこと。そして、あやまちから教訓を得ること。上手な文章を書くことは思考を明瞭にしてくれる。それは自分だけでなく、僚友たる株主にとっても同じである。

11. (運用者や投資家が)短期的な成績を求める圧力に縛られないために、見解を同じくする株主をみつけて維持するように努めること。

12. 道は好む所によって安し。[好きなことを仕事にすれば、苦役と感じることはない]

1. Value investing works. Buy bargains.

2. Quality matters, in businesses and in people. Better quality businesses are more likely to grow and compound cash flow; low quality businesses often erode and even superior managers, who are difficult to identify, attract, and retain, may not be enough to save them. Always partner with highly capable managers whose interests are aligned with yours.

3. There is no need to overly diversify. Invest like you have a single, lifetime "punch card" with only 20 punches, so make each one count. Look broadly for opportunity, which can be found globally and in unexpected industries and structures.

4. Consistency and patience are crucial. Most investors are their own worst enemies. Endurance enables compounding.

5. Risk is not the same as volatility; risk results from overpaying or overestimating a company's prospects. Prices fluctuate more than value; price volatility can drive opportunity. Sacrifice some upside as necessary to protect on the downside.

6. Unprecedented events occur with some regularity, so be prepared.

7. You can make some investment mistakes and still thrive.

8. Holding cash in the absence of opportunity makes sense.

9. Favour substance over form. It doesn't matter if an investment is public or private, fractional or full ownership, or in debt, preferred shares, or common equity.

10. Candour is essential. It's important to acknowledge mistakes, act decisively, and learn from them. Good writing clarifies your own thinking and that of your fellow shareholders.

11. To the extent possible, find and retain like-minded shareholders (and for investment managers, investors) to liberate yourself from short-term performance pressures.

12. Do what you love, and you'll never work a day in your life.

2015年2月6日金曜日

2013年度バフェットからの手紙 - (付録)企業年金制度について(10)

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ウォーレン・バフェットが、ワシントン・ポストのキャサリン・グラハム向けに書いた企業年金制度に関する注意について、10回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

年金基金における資産運用の実態

最近のことですが、ある年金基金から興味ぶかい数字を見せてもらいました。1975年6月30日までの9年半の記録です。基金の扱う資産額は2億5000万ドルで、その数字には3つの大銀行が含まれていました(各銀行に運用を委託した金額は2000万から5000万ドル)。「平均」として定義されたS&P500とダウ工業平均の2者につづいて、それらの成績が比較対照されていました。

年複利収益率(配当含む)
ダウ・ジョーンズ工業平均+2.8%
S&P500+3.8%
コンチネンタル・イリノイ+1.8%
ファースト・ナショナル・シティー+1.0%
モルガン・ギャランティー+3.4%

最近まではチェースも同じ領域で資金を運用していましたが、成績が悪いため契約解消となりました。おそらくは、上述した他の銀行よりも悪かったのでしょう。対象期間において収益率が1%上下すれば、金額にして200万から400万ドルの違いを基金へもたらしたのです。

もっとおもしろい集計結果もありました。6月30日の時点でコンチネンタル社が運用するポートフォリオのうち、モルガン社のポートフォリオにも含まれる証券の割合は、市場評価額ベースにして64%でした。またファースト・ナショナル・シティー社とは44%が重複していました。同様の重複は他の面でもみられました。

この基金が残した成績のことはよく知っています。ですから、運用者に対して通常ならぬ制約が課せられていたわけではないですし、その数字を解釈する上で特別な要因は何も考慮する必要はないことも申し上げられます。他の大銀行とくらべてモルガンが平均以上の成績を残しているのは、他の年金基金でも同じような差になるのはまちがいないと思います。さらに、その相対的な位置が再現する確率は低いだろうと思います。

「年金と投資」誌がすこし前に、規模の面で上位の35銀行が運営している株式投資を含んだファンドの5年間の公表成績を評定しました。S&Pと同程度あるいはそれ以上だったのは10銀行でした。各々が独立して運任せで運営しており、売買費用が成績をある程度引き下げているとすれば、この数字は確率論から予想されるものと整合しています。それ以上に重要なことがあります。多額の資金を扱う運用者に関する統計において、逆の見方を示す数字をいまだ目にしたことがない点です。

この証拠は、「保守的に運用している企業の年金制度において、平均以上の投資成績を期待するのは賢明でない」ことを、きれいに支持していると思います。

Illustrations of Reality in Pension Fund Investment Management

I recently received some interesting figures from a pension fund involving about $250 million of assets. The 9-1/2 year record through June 30, 1975 of the three major banks involved (managing $20 - $50 million per bank) follows, compared to "average" as defined in two ways, the S & P 500 and the D-J Industrials:

Annual Compounded Rate of Return (including Dividends)
Dow-Jones Industrials+2.8%
S & P 500+3.8%
Continental Illinois+1.8%
First National City+1.0%
Morgan Guaranty+3.4%

Until recently, Chase had managed a comparable segment of the funds but was terminated because of poor performance - probably worse than the other banks shown above. Each percentage point plus or minus affected this fund by about $2 to $4 million over the time period measured.

A further interesting calculation was made. On June 30, of the portfolio held by Continental, 64% of the securities held, measured by market value, also were in the Morgan portfolio and 44% were duplicated in the First National City portfolio. Similar overlap was demonstrated in other ways.

I am familiar enough with the record of this fund to state that no unusual constraints have been placed on the managers, and no special factors have to be recognized to interpret the numbers. I believe that Morgan's above-average record here, compared to that of other large banks, is typical of its relative performance at other pension funds. I also feel the predictive value of that relative standing to be low.

Pensions & Investments magazine recently rated the 35 largest banks for which five-year performance records of commingled equity funds were available. Ten did as well as or better than the S &P, consistent with what might be expected according to probability theory if everyone were operating solely according to chance and there was a modest drag on performance caused by transaction costs. More importantly, I know of no set of statistics which would demonstrate any opposite view relating to managers handling large amounts of money.

The evidence all seems to confirm that it is unwise to expect above-average investment results from a corporate pension plan, conventionally managed.

2015年2月4日水曜日

ひとから学ぶな、自分から学べ(チャーリー・マンガー)

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チャーリー・マンガーが1986年にハーヴァード高校の卒業生に贈った祝辞の5回目です。前回分はこちらです。(日本語は拙訳)

つづいて、みじめになるための2番目の処方です。「何を学ぶにしても、なるべく自分で経験したことから学びとること。存命か故人かを問わず、他人の成功や失敗といった間接的なものからは、できるだけ学ばないこと」。そうすれば効き目抜群、人並み以下のことしか達成できず、みじめになれるのは確実です。

他人の失敗から学ばないとどうなるか。それは、自分のまわりを見回せばわかります。人間のしでかす災厄とは、よくあるものばかりです。飲酒運転による自爆死、無謀運転で負った重傷、不治の性病、聡明な新入生を洗脳して破滅的カルトの一員に仕立てること、ビジネスにおいて先人も犯したあたりまえのあやまちをくり返して失敗すること、さまざまな群集的愚行、などです。よくある軽率なあやまちが、実際に問題へとつながるものです。それを思い出せるように、こんな現代風の言い回しを覚えておくといいでしょう。「しょっぱなから成功したくないんだったら、そうだな、ハンググライダーがばっちりだね」。

「他人から学ばないこと」を別の観点でとらえると、「自分以前になされた最上の成果からは学ばない」という決まりを持つことになります。これは、できる範囲でなるべく無学でいることを指示しています。

ここでひとつ歴史の小話をしておきましょう。そうすれば、ちっともみじめでない例がよくわかるでしょうから、その例には倣わないようにできます。その昔、最上の先達たちが残した業績をたいへん熱心に習得した男がいました。まずしい身分の出で、そのうえ解析幾何学をやるには厳しい時代でした。やがて彼の業績はひろく注目を浴びるようになり、彼はみずからの業績を次のように評しました。

「他の人より少しでも遠くを見渡せるとしたら、私が巨人の肩の上に乗っているからです」

その男の遺骨は一風変わった碑文の下で、ウェストミンスター寺院に埋葬されています。

「アイザック・ニュートン卿として生きた者、ここに眠る」

My second prescription for misery is to learn everything you possibly can from your own experience, minimizing what you learn vicariously from the good and bad experience of others, living and dead. This prescription is a sure-shot producer of misery and second-rate achievement.

You can see the results of not learning from others' mistakes by simply looking about you. How little originality there is in the common disasters of mankind - drunk driving deaths, reckless driving maimings, incurable venereal disease, conversion of bright college students into brainwashed zombies as members of destructive cults, business failures through repetition of obvious mistakes made by predecessors, various forms of crowd folly, and so on. I recommend as a memory clue to finding the way to real trouble from heedless, unoriginal error the modern saying: "If at first you don't succeed, well, so much for hang gliding."

The other aspect of avoiding vicarious wisdom is the rule for not learning from the best work done before yours. The prescription is to become as non-educated as you reasonably can.

Perhaps you will better see the type of nonmiserable result you can thus avoid if I render a short historical account. There once was a man who assiduously mastered the work of his best predecessors, despite a poor start and very tough time in analytical geometry. Eventually, his own work attracted wide attention, and he said of his work:

"If I have seen a little farther than other men, it is because I stood on the shoulders of giants."

The bones of that man lie buried now, in Westminster Abbey, under an unusual inscription:

"Here lie the remains of all that was mortal in Sir Isaac Newton."

2015年2月2日月曜日

2014年の投資をふりかえって(8)その他:日精ASB,任天堂,しまむら,ツムラ

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2014年の投資に関する振りかえりは、今回で最後です。昨年と保有数の変わらない2社(日精エー・エス・ビー機械、任天堂)と、購入したもののすぐに売却した2社(しまむら、ツムラ)について、簡単に触れます。

■日精エー・エス・ビー機械(6284)
- 当社Webサイト
- Yahoo! Japan ファイナンス 株価

以下のリンク先は、昨年の振りかえり記事です。
2013年の投資をふりかえって(6)継続投資銘柄:日精ASB機械

日精エー・エス・ビー機械(6284)株価の推移(2014年)

株価は年始が2,600円、年末が3,000円でした。上昇率は15%です。

当社への投資はポートフォリオ中に占める割合が小さいため、業績を細かく確認することなく放置したままでした。半値近くまで下がる局面がありましたが、持ち株数は昨年と変わらずです。決算資料によれば受注残は前年度以上の数字ですが(当社発表資料最終ページ[PDF])、円安が進んでいる影響は割り引いてとらえています。当社は景気変動が大きい製造装置業界に属しており、下りの局面では売上げが大きく低下すると予想します。ですが現在の株価ではあえて売買はせず、今年も継続保有したいと考えています。


■任天堂(7974)
- 当社Webサイト
- Yahoo! Japan ファイナンス 株価

以下のリンク先は、昨年の振りかえり記事です。
2013年の投資をふりかえって(5)継続投資銘柄:任天堂

任天堂(7974)株価の推移(2014年)

株価は年始が14,010円、年末が12,605円でした。下落率は10%強です。

先週発表された第3四半期決算では、営業利益が下方修正されました。400億円から200億円への減額です(当社発表資料[PDF])。ただしそれは早い時期からある程度予想できたものです。今期発売した主な自社製品は、実質的にマリオカート8(WiiU)、ポケモンのリメイク作品(3DS)とスマブラ新タイトル(3DS及びWiiU)の3.5本と言える状況だったからです(この2月にはゼルダのリメイクが3DSで発売予定)。実質的にこれだけのバリエーションと既発売の作品と他社製品で、前年度並みのソフトウェア売上げを計上しています。

来期はWiiUの大型自社製品がいくつか発売されますが(ゼルダ、スターフォックス等)、個人的に注目している製品があります。5月に発売予定のスプラトゥーンです。

(下の映像は、2014年6月のE3で公開されたものです)



この作品からは「前向きなニンテンドー」らしさが感じられ、来期のWiiU拡販の試金石として働くのではないかと想像しています。ただし中心的な遊びかたがインターネット対戦型のソフトのようで、当社としては微妙なマーケティングと思える節もあります。ですが、北米での評判や売上げに注目したいと思います。

今期の当社は「定番ゲーム屋」さんとして消費者に受け入れられる施策を堅実に実行してきたと受けとめています。来期2015年度には、まいた種の成果がある程度実るだろうと思われます。ただし当社が掲げている基本戦略「ゲーム人口の拡大」の視点からみると、ほとんど前進していないようです(トモダチコレクションの国外販売は評価できます)。現在は収益基盤を取り戻すことで精いっぱい、といったところでしょうか。「消費者に新しいオドロキを与える」ことが当社らしい商売のやりかたですから、次の回ではぜひ期待したいものです。

最後に備考です。昨年の投稿で、当社の研究開発費が急増した話題をとりあげました。以下のグラフは、今期までの3年間にわたる研究開発費の推移です。

(データの出所: 当社四半期報告書)

これをみると、昨年度の増加は期末に集中しており、金額も突出しています。どうやら、ゲームソフト開発に資金を大量投下したというよりも、新開発棟での業務開始に備えた物品やソフトウェアの購入に使われた、とみるべきだったようです。


■しまむら(8227)
- 当社Webサイト
- Yahoo! Japan ファイナンス 株価

しまむら(8227)株価の推移(2014年)

当社の株を購入したのは、昨年4月中旬に株価が90万円を下回った頃でした。そして8月のはじめに売却しました。ただし1単元だけ残しています。現在は模索の時期に入ったようにみえる当社ですが、今回もかつてのように殻を破って新たな段階へと進めるのでしょうか。優良企業である当社には、それなりの金額を投資したい気持ちもあります。株価がふたたび下がる時機がくれば、購入を検討しなおすつもりです。


■ツムラ(4540)
- 当社Webサイト
- Yahoo! Japan ファイナンス 株価

当社については過去の投稿で一度取りあげています。
『復活を使命にした経営者』、芳井順一会長によるツムラ再生の物語

ツムラ(4540)株価の推移(2014年)

しまむらと同様、当社も昨年投資に踏み切り、時を置かず売却した会社です。両社に共通するのは、良好な業績をあげており、すばらしい企業文化を持っており、そして輸入型の企業であることです。円安の時期だからこそ、市場からの評価が低迷して株式を購入する機会が生まれるのでしょう。ですが、購入した株価水準が納得できなかったため、早々に売却しました(損失を確定しました)。次に機会があるかどうかわかりませんが、そのときがくれば今度は継続保有したいと考えている会社です。