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2012年9月11日火曜日

企業評価について(ルー・シンプソン)

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少し前にとりあげた『最高経営責任者バフェット』で(過去記事)、ルー・シンプソンは投資候補の企業を評価する際の着眼点を、次のように述べています。

企業評価において最も重要な量的側面について質問すると、次のような答えが返ってきた。「それは資本収益率です。これをチェックすると、実にいろいろなことが分かります。ただし、根本的な問題として、利益に関してはかなり雑音が入るため、財務データ上の数値と実際の数値とは切り離して考えないといけません。ROE(株主資本利益率)は基本的に重要ですが、これが時として当てにならないこともあります。が、たとえそうであっても、多くのことを調べる必要があります。そして、その企業の長期的な利益成長率を見積もり、一定の割引率で割り引く。これが何よりの評価となります。原理的には簡単ですが、実際にやってみると、結構難しいものです」(p.106)

なお上記の「資本収益率」に対応する原文を調べたところ、"Return on capital"でした。この話題は次回に続きます。

2012年8月31日金曜日

株価があちこちで下がってきたら思い出すこと

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株価があちこちで下がってくると、いろいろよそ見をしたくなります。そんな自分を戒める意味で、ウォーレン・バフェットの1989年「株主のみなさんへ」から引用します。以前にも同じことを書きましたが、何度も繰り返さないと忘れる性質なのです。

まあまあの企業を破格の値段で買うよりも、すばらしい企業をまあまあの値段で買うほうがずっとよい選択です。チャーリーは昔からこのことがわかっていましたが、わたしのほうは時間がかかってしまいました。ですが現在は、企業を買収したり株式を買うときには、最上の経営陣が率いる最高の企業を探すようにしています。

It's far better to buy a wonderful company at a fair price than a fair company at a wonderful price. Charlie understood this early; I was a slow learner. But now, when buying companies or common stocks, we look for first-class businesses accompanied by first-class managements.

過去記事はこちら、「長続きする競争優位性を見極める」です。

2011年12月19日月曜日

冒険はすばらしいものだと思いますが(ウォーレン・バフェット)

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株価が下がってきたこともあり、旭硝子(5201)やCorning(GLW)といったガラス製造業を分析しています。参入障壁が高く、FPD用基板やカバーガラスでは高い利益率を上げていて、魅力的ではあります。しかし、これまでの投資先が競争優位性の強いディフェンシブな企業ばかりだったせいか、この手の企業の強みを消化しきれないでいます。

今回は、ウォーレン・バフェットによる1996年の「株主のみなさんへ」から引用です。(日本語は拙訳)

私どもが行ってきた企業買収や株式投資を調べて頂くと、大きな変化に出くわさないビジネスや業界を好んでいるのがおかわりになるかと思います。理由は簡単なもので、どちらの投資でも、今後10年や20年は大きな競争力を維持できるのが明白な商売を探しているからです。変化の激しい業界では大もうけできる可能性もありますが、我々の望みは不確実になってしまうのです。

ただし、ここで申し上げておきたいのは、一市民としてはチャーリーも私も、変化を望ましいものと捉えています。斬新な考え、新製品、革新的なプロセスといったものは、我が国の生活水準を向上させてくれる良きものです。しかしながら、一投資家としては、その手のにぎやかな業界は宇宙探査と同じように思えるのです。「冒険はすばらしいものだと思いますが、自分が行くのは遠慮させて頂きます」。

In studying the investments we have made in both subsidiary companies and common stocks, you will see that we favor businesses and industries unlikely to experience major change. The reason for that is simple: Making either type of purchase, we are searching for operations that we believe are virtually certain to possess enormous competitive strength ten or twenty years from now. A fast-changing industry environment may offer the chance for huge wins, but it precludes the certainty we seek.

I should emphasize that, as citizens, Charlie and I welcome change: Fresh ideas, new products, innovative processes and the like cause our country's standard of living to rise, and that's clearly good. As investors, however, our reaction to a fermenting industry is much like our attitude toward space exploration: We applaud the endeavor but prefer to skip the ride.

2011年12月18日日曜日

会社四季報、楽しみです(私の銘柄発掘方法)

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先週の12日に会社四季報の最新刊が発売されました。といっても私にとっては、一つ前の秋号が「最新」になります。図書館では最新のものは館内扱いなので借りられないからです。この時期に借りると年末年始の休みをはさむので、貸出し期間が少し延びて助かります。

以前にも書きましたが、私なりの四季報の読み方をご紹介します。

ウォーレン・バフェットがやった方法にならい、ひととおり全企業に目を通します。ただし土木建設会社中心の1000番台と、金融関係や不動産が多い8000番台は、適宜飛ばします。それらは、私にとっての範疇外だからです。またIT系の企業も、斜め読みで済ませることが多いです。参入障壁が低かったり、株価が高すぎることが多いからです。

次のような項目を注視しながら、興味をひいた証券コードを拾い上げ、それ以外はすばやく読み飛ばします。下記項目の順序は、おおよそ重要視する順です。

1.売上高利益率(=売上高、営業利益)
2.ROA, ROE
3.有利子負債
4.PER
5.株価の動向
6.株主構成; 親子上場の子会社でないこと
7.配当性向

この初期調査をとおった企業について最新の株価を確認し、その上で詳細調査を進めることにしています。

このやりかたの最大の弱点は、過去の企業成績や現在の財務に目を向けているので、再起しようとしている企業やこれから伸びる企業を見逃してしまう点です。好財務な企業ばかりが投資対象に残ってしまいますが、未来を読むのは難しいので、自分の投資判断としては財務良好を必須条件とするぐらいで、ちょうどいいと考えています。

ところで、今回図書館で借りた四季報は、あまりページが開かれておらず、新品に近い状態でした。返却する頃にもピカピカのままだといいのですが..。

2011年12月6日火曜日

ビジネスを理解するとは(ウォーレン・バフェット)

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前回の話題を受けます。投資対象が「お手上げ」(too tough)かどうかは、投資対象を自分で理解しているかどうかが判断基準になってきます。今回は、ウォーレン・バフェットの言うところの「ビジネスを理解するとは」です。2000年に開催されたバークシャー・ハサウェイの年次総会での発言を引用します。『Seeking Wisdom』からの孫引きです。(日本語は拙訳)

私たちが唯一知っている利益のあげかたは、ビジネスを評価しようと努めることです。例えば、ある鉄鋼会社を評価できないのであれば、その会社は買いません。いい取引ではないとか、大安売りではない、とは言っていません。どう評価したらよいか私たちにはわからない、というだけです。ブラジルに化学工場か何かを設立する是非を評価できないようであれば、買わないのです。

製品を理解でき、利用者にとってどう役立つのかも理解できる、でも10年後に経営状況がどうなるのか見当がつかないことがあります。例えば、鉄鋼のことを知っていて、住宅建設のこともわかっていても、ある建設業者を調べたからといって、5年や10年後に経営状況がどうなっているか推測するのは別の問題です。製品や流通やそういった類のことが問題なのではなく、10年後の経営状況をどれだけの精度で予測できるかが重要なのです。

The only way we know how to make money is to try and evaluate businesses. And if we can't evaluate a carbon steel company, we don't buy it. It doesn't mean it isn't a good buy. It doesn't mean it isn't selling for a fraction of what its worth. It just means that we don't know how to evaluate it. If we can't evaluate the sense of putting in a chemical plant or something in Brazil, we don't do it...

We understand the product. We understand what it does for people. We just don't know [what its economics will be] 10 years from now...You can understand steel. You can understand homebuilding. But if look at a homebuilder and try to think where the economics of it is going to be in five or 10 years, that's another question. It's not a question of understanding the product they turn out, the means they use to distribute it ? all of that sort of thing ? it's the predictability of the economics of the situation 10 years out.

2011年10月21日金曜日

波があっても気にしませんよ

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我が家のポートフォリオはディフェンシブの銘柄に集中投資してきました。しかし、最近の株価下落には食指が動き、いわゆる景気敏感株にも注目しています。今回は「景気敏感株」について、ウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーのコメントを引用します。今年2011年4月に行われたバークシャー・ハサウェイの株主総会を筆記してくださった方のブログからです。最後の段落になります。(日本語は拙訳)

<質問者:ソーキン> バークシャー傘下の不動産関連ビジネスの状況から察するに、住宅用・商業用を問わず不動産の市場動向について、どのようにお考えですか。

<バフェット> 短期的には、住宅用・商業用不動産の不況は[バークシャーの子会社である]Shaw, Acme, Johns Manvilleといった会社の成績に悪影響を及ぼしています。ですが、我が国では世帯数は増加傾向ですし、それにつれて住宅も建設されていくので、バークシャーの各社は、住宅建設が戻ってきたときに利益を挙げられる絶好の位置につけています。[バークシャーの子会社である]See's Candyは1年のうちの8ヶ月間は赤字です。この商売は季節変動が大きいのですが、必ずクリスマスがやってくるのはわかりきっています(何しろ、これまでに2000年も続いてきたことですから)。季節変動の大きな会社と景気に敏感な会社とは、同じような観点で捉えることができます。考慮する期間を長くすればいいのです。利益に波があっても、20年間ぐらいでみたときに安定していれば問題ありません。

<マンガー> 波があっても気にしませんよ。いいビジネスだったらね。

53. (Sorkin): Do you have any insight into the state of the residential and commercial real estate markets as a result of BRK’s position in businesses peripheral to real estate?

Buffett: In the short run, the impact of the crisis on residential and commercial real estate has been terrible for Shaw, Acme, and Johns Manville. This country will build houses commensurate with household growth and BRK’s companies are in a great position to make money when homebuilding normalizes. See’s Candy loses money eight months of the year. But they understand the seasonal patterns of the business and know that Christmas will come (‘They have 2000 years on their side”.) Looking at seasonal companies is like looking at cyclical companies. You just need a longer time frame. It does not matter if the returns come in a lumpy manner if they come consistently for 20 years.

Munger: We don’t care if it’s lumpy as long as it’s a good business.

20年間はともかく、少なくとも景気循環の1,2回は念頭において、競争優位性を分析したほうがよさそうですね(参考記事はこちらです)。

2011年9月27日火曜日

東証一部のPERの推移(40年間)

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アメリカの新進のファンド・マネージャーであるティルソン(Whitney Tilson)の最近のプレゼンテーション(9/15付け)が、GuruFocusからリンクされていました。scribdにアップロードされているものです。

時々みかけるチャートですが、p.4とp.5のスライドが示唆的です。p.4はダウ工業平均で、過去3回の強気相場後にボックス相場が15年間前後続いたことを示しています。p.5はS&P500で、ボックス相場が終わって強気相場が始まるまでは、PERが5-10倍まで低下したことを示しています。

一方、日本の株式市場ですが、東証のWebサイトに1999年以降のデータが掲載されています。こちらがexcelファイルです。これによると、東証一部(連結ベース)のPERの最低は、2009年2月の12.8倍です。先月(2011年8月)末時点では15.7倍。東証一部単体ベースではもっと古いデータがあり、1974年の年末で13.0倍。オイルショックの時代のことです。連結ベースに修正すればもっと小さな値になるでしょうが、いずれにせよ、現在の日本の株価水準は40年来の割安です。

ところでティルソンはポイントをひとつ稼いだようですね。ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイが自社株買いの意向を昨日発表しました。過去に例がなかったと記憶しています。ティルソンは以前から主張していましたが、今回の資料でもバークシャーの割安ぶりを筆頭に挙げていました。スライドのp.9からになります。